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森池玲子 写真展
「MOMENT 035」

2019.5/22wed〜5/26sun 会期中無休

写真の舞台「当尾」を初めて訪れたのは 20 年以上も前のことです。 なだらかな丘陵地帯を歩くと道の傍らに大小幾つもの石仏・石塔が現れ、ちょっと不気味で 不思議な場所だなと心に残りました。

以後何度か訪れる中、ピンホールカメラで撮ったらどうだろうと考えるようになり、手探 りで撮影をはじめました。

写真は全てイルフォードピンフォールカメラ(画角 97 度・ピンホール径 0.35 mm・F 値206)と 4×5 モノクロフィルム(FUJI ACROS100)を使用しました。 カメラの原点であるピンホールカメラは、暗箱に小さな穴があるだけでレンズなどは付い ていません。当然シャープな描写は望めず、長時間露光を余儀なくされます。 被写体を前に撮影位置を考え、露光時間を計算してやっと撮影、1 時間近く露光をかけてい ることもありました。

長いなあと思う 1 時間もこの地の連綿と続く時間から見れば一瞬のことです。「当尾」最 古の石仏は、750 年以上の歳月をこの地に立ち続けておられます。 撮影を重ねるうち、石仏や石塔が数百年前の光りを発し、0.35mmの穴をタイムワープして フィルムの上に像を結んでいるように感じました。

多くの仏様や墓地のお地蔵さんにまで三脚を据え、カメラを向けるという私の罰当たり な行為に声を荒げることもなく挨拶を交わし、寺院の祭事の日時などを教えて下さった集 落の方々の寛容さのお蔭で撮ることができました。唯々深く感謝しております。

森池玲子

open13:00-close19:00(最終日-18:00まで)